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Hiromichi Nemoto

慎ましくも豊かに生きる


はじめまして。

modest.の店員ネモトです。


<café & bulk shop modest.>という屋号で

量り売り&カフェのお店を埼玉県蕨市でやっています。


初のブログ記事は店名の由来について書いてみようと思います。






店名の由来

 

<modest>とは「慎ましい」という意味で、

それを店名にしました。


<café & bulk shop>の部分は、

café = カフェ

bulk shop = 量り売り店

となっており、カフェを併設した量り売り店を表しています。


ではなぜ「慎ましい」という意味の形容詞を店名にしたのかというと、

実はmodestには続きがあって、

<modest but multiple life>というフレーズから抜き出したのです。




慎ましくも

豊かに生きる

 

お店のコンセプトや自分たちの生き方の指針として、

私たちは「慎ましくも豊かに生きる」という言葉を掲げています。


お金をかけて豪華に生活することだけが豊かで幸せな生き方なのではなく、

たとえ質素倹約のなかで生活していたとしても、そこに豊かさや幸福があるのではないか。そんな直感から生まれたフレーズです。


お店を始めるにあたり、この「慎ましくも豊かに生きる」というコンセプトを

どのように英語表記するか悩んでいました。

そして思案の末行きついたのが<modest but multiple life>というフレーズです。


なので、<modest.>という店名は、

コンセプトであるこの<modest but multiple life>というフレーズに由来します。


「謙虚で慎ましいけれども、それでいて豊かさに溢れた生き方」といったニュアンスを表現したかったのです。


あるいは「丁寧な暮らし」と言い換えることもできるかもしれません。



慎ましい=modest

豊か=multiple

 

「慎ましさ」と聞くと、たいてい、質素倹約の生活や控えめな在り方がイメージされます。


他方で、「豊かさ」とは何よりもまず経済的な豊かさが想起され、モノやサービス、情報が充実している様が浮かび上がります。


「豊かさ」を英語表記しようとすると、真っ先に思い浮かぶのはrichであるとか、gorgeousであるとか、あるいはluxuryなどでしょうか。


しかし、豪華・豪奢・贅沢というニュアンスは私たちがイメージする「豊かさ」とはかけ離れていました。


では、自分たちが考える「豊かである」とはどういった状態なのだろうか。

最もしっくりきたのは「豊かさ」=「多様性」というものでした。


あらゆる価値観に優劣を設けず、様々な差異が肯定されている様。

微細な差異を丁寧に感覚し、拾い上げていく心身や生活の在り方。

そこにはたくさんの「こだわり」が貫かれ、

それらを敏感に、繊細に享受しながら暮らしていける状態こそが「豊か」なのではないか。


そう考えたので、豊かさをmultipleという「多様性」を意味する言葉で表現しました。



「慎ましさ」と

「豊かさ」の共存

 

とはいえ、一見すると「慎ましさ」と「豊かさ」は両立できない二者択一のイメージがあるかもしれません。

しかし、はたしてそうだろうか、という問題意識を常々抱いていました。

ここには日々感じていたある種の生きづらさと関連しています。


世の中にはモノやサービス、情報が大量に溢れ出ていて、大量生産・大量消費・大量廃棄の荒波にのまれてしまう。そして実際は飲み込まれている。


言い換えると、無自覚的に資本主義的な生活様式を送ることになってしまっている。

それはそれで良いのだろうけど、個人的には生きづらさの根幹がここにあるように思うのです。


「生きている」というよりは、「生かされている」あるいは「生きるままにされている」というような状態に近いかもしれません。


なので、資本主義的な生活スタイルへの大層な批判ではないものの、

現状に少しばかりの批判的意識を持ち、より良く生活を営むことができるように自分を変化させていきたいと常々考えていました。


「慎ましく」とは、そうした支配的なシステムに対する自分なりの抵抗の表現だったのかもしれません。

そして何よりも、「慎ましさ」は「豊かさ」と矛盾せず、共存可能であることを表現したかったのだと思います。


「慎ましさ」は決してネガティブな状態を意味しているのではなく、

「丁寧な暮らし」や「多様な差異が肯定される豊かな生き方」を力強く表現しています。


そして、以上のようなコンセプトや思考がひとつの「カタチ」として実現されたのが

<modest.>というお店です。


環境課題の解決に向けた「量り売り」という買い物スタイルも、

扱っているクラフトな商品たちも、

カフェで提供する一杯のドリンクさえも、

すべては<modest but multiple life>から出発しています。


これが<modest.>という店名に襞のように込められた思いです。


「ゼロウェイスト」や「スローライフ」など、

似たような既存の言葉はありますが、

私たちが表現し、提案したいのは「モデスト」という言葉に収斂するのかもしれません。




閲覧数:106回4件のコメント

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4 Comments


pipipipare19
May 13

素敵な文章に、心が刺激されております。慎ましさ、謙虚さは、心が豊かだからこそ、大切なものを大切にしたいからこそ、だと感じております。応援してます!

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Hiromichi Nemoto
May 13
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ありがとうございます。「慎ましさ」は、日常を大切に、愛でながら生活していくための感度だと思っていました。今後とも応援よろしくお願いします。

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kenbokenbokenbo.i
May 13

お店のあり方だけでなく生き方そのものがモデストなんですね


学が乏しい私にはちょっと難しい言葉が並んでて理解するのに時間かかりそうですがお店に並んでいるものお店に立って働いている人を見ればなんとなくわかる気がします

これからもずっとモデストでいてくださいね

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Hiromichi Nemoto
May 13
Replying to

ありがとうございます。文章にするとどうしてもかたくなってしまいますね。お店ではフランクに働いていますが、「モデスト」という初心を忘れずに生活していきたいです。今度ともmodest.をよろしくお願いいたします。

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